こんにちは。オレンジ色のユニフォームです。
私が薦める”若手IT技術者に読んでもらいたい”3つの書籍
というシリーズです。
その2冊目
デマルコ&リスター『ピープルウェア』日経BP社,1989年
この本から「人」の大事さを教わりました。
当時の私は技術偏重なところがあって、技術を持っていないヤツがSEヅラするのはけしからん、と思っていました。
技術は努力すれば誰でも身につくものなので、技術が足りないヤツは努力が足りないヤツと、短絡的に考えていました。
しかし、この本を読んで目から鱗が落ちました。自分の偏った考えは間違えていることが分かったのです。
生産性や品質を向上させるためには、技術者のケツを蹴飛ばすことではなく、技術に強い人を集めれば良いのではなく、もっとほかに必要なことがいっぱいある。
たとえば、
一人あたりのスペースを十分広くすることや、仕事中の割り込みを極力減らしフロー状態を維持させること、など当時の私にとって新鮮な驚きでした。
なかでも、次の文にはハッとさせられました。今でも忘れられない下りです。
(少々長い引用となります)
何年か前、私はある会社の社内設計技術コースで教えていた。上級管理者が私をつかまえて「このコースの中にいる数人(その管理者のプロジェクトのスタッフ)を評価して欲しい」と言ってきた。この管理者は、特にある女性の評価に関心があった。彼は明らかに彼女の能力に疑いを持っていた。その管理者は、彼女について「プロジェクトで役に立っているとは思えない。開発をやらせても、検査をやらせても、あるいはその他の仕事でも、決して優秀とは思えない」と言った。
少し調べてみると、興味のある事実を発見した。同社での12年間の在職中、彼女が携わってきたプロジェクトは、すべて大成功を収めていた。彼女がどんな役割を果たしたかははっきりしない。しかし、彼女が関係するとプロジェクトはいつもうまくいった。1週間、受講中の彼女を観察して、彼女の同僚と話したところ、彼女はチームの中で触媒のような役割をしている、との結論に達した。彼女がいるだけで、チームの結束は固くなった。彼女がいると担当者間の意志の疎通が良くなり、一緒にやっていこうという気になった。彼女が加わるだけで、プロジェクトは楽しくなった。この結論をくだんの管理者に説明したが、一蹴されてしまった。どうしても、プロジェクトには触媒が不可欠だということを、認識しようとはしなかった。
P10より引用
管理者になる前に読んでおきたい一冊です